研究概要 |
研究は以下の2項目について行われている 1.ナノ結晶粒生成メカニズムの解明と摩擦加工適応材料範囲の拡大. 2.表面精度がよく欠陥の無い加工層を作るための切削摩擦条件の確立 22年度は研究計画を前倒ししてチタン合金への摩擦加工を試みた.α-β合金である6Al-4Vに摩擦加工を行った結果表面層に微細結晶粒を生成させることに成功した.しかし,疲労強度は向上しなかった.この原因は摩擦加工によって生じた亀裂状の欠陥であることが確かめられた.またβチタン合金やαチタン合金にも摩擦加工をおこない,表面結晶粒微細化を確認したが,疲労強度の大幅な向上は確認されなかった.これらの材料には目立った欠陥は発見されなかったが,表面粗さを低くすることが出来なかった.これは摩擦加工技術が未成熟であることと,それに加えチタン材料が切欠き感受性が高いので,摩擦加工に不向きな材料であることが分かった. 表面の仕上がりを向上させるために,切削と摩擦加工を組み合わせた切削摩擦加工を行うための加工チップを製作し,これを用いてS45C調質材に切削摩擦加工を行った.その結果従来の摩擦加工と同じような表面ナノ層を創成することが出来た.表面の状態は凹凸が大きく疲労強度は低いと予想されたが,860MPaの疲労限度を記録した.摩擦加工材では有限寿命域で寿命がばらつく傾向が見られたが,切削摩擦加工材ではSN曲線上に実験データが乗る傾向が見られ,安定した疲労強度を持つ製品作りに利用できることが確認できた.
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