研究概要 |
23年度の研究実施計画は以下の2項目であった. (1)切削摩擦加工を行うためのバイトチップ形状を模索する.この場合の目指す所はまずボイド等のような欠陥が生じないこと.表面精度が良いこと,そして一番重要視するのは表面硬さを上げることである.このために,摩擦加工用のホルダを改良し,市販のバイトチップが装着できるようにする.これにより市販のバイトチップを研削加工して切削摩擦加工チップを作成することが出来るようになる.当面摩擦加工は鉄鋼材料を素材として行い表面粗さ,表面硬度,硬度分布および疲労強度を測定して切削摩擦加工の評価とする. (2)摩擦加工対象金属をTi合金に展開する.Ti合金でありながら結晶構造の違う3種の合金(Ti-3Mo-3Al(hpc),Ti-8Mo-3Al(bct),Ti-15Mo-3Al(bcc))を製作.これらの合金は,引張強さはほぼ等しいものの,結晶構造の違いから全違った応力ひずみ線図を呈する.このように加工に対して性質の違った合金で摩擦加工を行うことで,ナノ結晶粒生成機構解明の手がかりを得る. 以上2項目について実績を報告する,(1)については欠陥が生じにくい倍とチップ形状を考案し,特許出願を行った.また,バイトホルダーの改良にも成功した.(2)については,22年度の研究で,6Al-4V Ti合金に摩擦加工を行ったものの疲労強度向上がならなかったが,(1)で考案したバイトチップを使用することで,疲労強度の大幅な向上が得られた.この材料は一般に表面処理による疲労強度向上が難しい材料とされており,切削摩擦加工の効果の証明となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
切削摩擦加工で疲労強度の向上を図ることについては,バイトチップ形状で特許申請を行い,Ti合金にまでその適応範囲を広げることが出来たので当初の計画以上に進んでいると判断されるが,ナノ結晶粒生成のメカニズムを解明する点ではまた不明なところが多く,したがって区分(2)おおむね順調に進展しているとした.
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