研究課題/領域番号 |
22560100
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研究機関 | 独立行政法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
山西 伸宏 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 主幹開発員 (70450715)
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研究分担者 |
西元 美希 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 開発員 (40450704)
吉村 忍 東京大学, 工学系研究科, 教授 (90201053)
笠原 直人 東京大学, 工学系研究科, 教授 (30421580)
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キーワード | ロケット / 構造工学 / 破損 / マルチフィジクス / 極限環境 |
研究概要 |
本研究は、液体ロケットエンジン燃焼室の破損メカニズムと影響因子について、マルチフィジクスシミュレーションによって明らかにすることを目的としている。本年度は、昨年度に試作と検証を終えた流体・熱・構造の連成ツール(マルチフィジクスシミュレーションツール)を用いてエンジン燃焼室破損の強度因子分析による特徴抽出に適用した。具体的には、エンジン燃焼室破損の影響因子として、(1)エンジン起動→定格運転→停止のプロセス、(2)冷却流路の形状、(3)エンジンの定格運転条件、などが今のところ考えられる。エンジン起動前は常温(25℃)にある構造内部が、起動プロセスが開始されると極低温流体の流入によって急激に冷却され、その後、高温燃焼ガスが燃焼室内で生成され、今度は急激に加熱される。エンジン定格運転では冷却通路内は極低温流体、燃焼室内は高温燃焼ガスが流れており、激しい温度勾配が構造内部で形成される。地上試験ではこれが5分程度続くが、実際のフライトでは20分程度の運転となる。停止前は高温(約600℃)にある構造内部が、停止プロセスによって高温燃焼ガスが流れなくなるため徐々に冷やされる。最後は冷却用の極低温流体も流れなくなり、そのまま放置されて数時間かけて常温に戻っていく。また、前述した様に、冷却流路と燃焼ガスの間は僅か1mm程度の構造体で仕切られており、冷却流路形状も極めて重要な因子である。これらとエンジン燃焼室変形との因果関係を調査した。その結果、以下の特徴が抽出された。 燃焼室で最も高温になるスロート部の変形量は、エンジン起動の時間を速くすると増大する。またエンジン停止のプロセスで、停止時間を速く、冷却剤流量を少なくすると元の形状に戻りきらず変形が残るようになる。冷却流路を外側の構造部材と接合した場合、スロート部の変形はごく僅かとなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究とりまとめ及び研究分担者の連絡を密にとりつつ、当初から現実的な目標を設定し、計画的に研究を遂行したため。またコア技術である連成解析ツールの研究開発が順調に進んだため。
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今後の研究の推進方策 |
当初設定した研究目標および研究計画に沿って着実に研究を遂行する。
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