研究概要 |
本研究は,エコ発電素子として注目されている色素増感太陽電池に利用される導電性透明樹脂電極の太陽光入射面および酸化チタン膜の吸着面に対し,微細熱転写加工によるサブミクロン表面凹凸構造を創成し,太陽光の反射防止および酸化チタン膜の吸着力と吸着量を増大させることにより,太陽光発電効率の格段の向上を実現することを目的とする.そのための初段階として,導電性透明樹脂電極の転写加工用モールドを微小切削によって製造し,それを用いた転写加工により,導電性樹脂の両面にサブミクロン表面凹凸構造を形成する.H22年度における検討内容および得られた成果は次に示すとおりである.1)高周波微小振動切削用工具の把時用治具の設計・製作:ミクロンないしサブミクロンオーダの振幅の振動を工作物の深さ方向に付加して,深さおよび幅の異なる無数の切削溝を製作するために,ピエゾアクチュエータによるFTS(Fast Tool Servo)を用いた微小振動切込みによる切削システムを導入したので,それを3軸加工機に固定するための治具を製作した.さらに,工具の微小振動切込みをコンピュータ制御するための制御プログラムを作成し,その動作を確認した.2)微小振動切込みによる切削システムを用いた微小凹凸モールドの製作実験:3軸加工機に前述の微小振動切込みによる切削システムを搭載し,サブミクロンレベルの先端半径を有するダイヤモンド引っかき子を用い,無酸素銅工作物表面に対して微小量の潤滑条件下において微小振動切込み切削を施し,微小凹凸モールドを試作した.さらに,安定した寸法の切削痕を得るための加工条件と課題を明らかにした.
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