研究概要 |
1) 高速切断画像の観察と高速不完全切断の診断 板紙とAC板材の直状パンチ機構によるせん断の画像解析を進めている.加工速度と刃先隙間に依存して脆性樹脂の亀裂進展が分岐する様子を明らかにした.亀裂進展は負の隙間を設定することで抑制できることが明確になってきた.超音波励起の制御パターンを変えて切口形状の安定制御法を開発し,国際会議で発表した.半溶融押抜き加工の切断面形状を観察できるようになった.高速カメラによって板紙の搬送運動(跳びはね現象)の観察をできるようになったことは大きな前進である. 2) シミュレーション 段形状積層材の変形挙動について,平板部の異方弾性ならびに中芯部の塑性座屈挙動を考慮した組み合わせモデルを提案し,実際的な変形現象を再現できるようになった.また,脆性材樹脂と柔軟シリコンゴムの切断挙動に対して,亀裂と変形を再現するモデルの開発中であり発表準備中である. 3) 薄板のパターン抜き工法,実験観察 波形刃を使った厚さ13mm, 25mmのPET 薄板の切断特性について, パターン抜きに叶う刃先の波形を設計・製作し,実験的に解析を進めた.従来の市場になかった新しい機構を考案し,同時に既存のプレス機(平盤機)で採用可能な条件を考慮して,いくつかの波刃の形状とその切断性能について実験解析を行ったものである.これについて学会講演会等で発表を行った. 昨年度から継続して「飛散防止シート,電磁保護シート」などを題材とした実験観察を進めている.飛散防止膜については透明体と多層構造のためカメラによる可視化分析が難航しているので,さらに検討を継続していく.電磁保護シートの切断性についても可視化が容易ではないが,1回の学会発表を行っている.詳細な解析を継続中である.
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