研究概要 |
並進3軸に加え,姿勢変化のための2軸を備えたいわゆる多軸工作機械を用いた加工を前提とし,加工時の工具姿勢を計画するための手法の検討を行った.従来から知られている工具姿勢を計画するための手法に比べ,本課題において提案する手法は,線形制約式に基づいた数理計画法を利用することに独自性を有する.本年度は.主として以下の2点について検討を行った. 1) 数理モデルの構築 工具姿勢は,工作機械が備える回転2軸により制御される.この回転2軸の制御による姿勢変化量は正弦値および余弦値によって与えられ,そのままでは,非線項を制約式に含む.そのため,まず初めに姿勢変化を与えるために必要な変数を連立線形不等式による制約式として表現することを可能にした.提案する方法は,単位円上の1点の座標成分が,正弦値と余弦値の関係になることに着目し,単位円を正多角形により近似的に表現することにより,目的の線形制約式を得ることができることに基づいている.次に,工具形状および被削材形状は,線形制約式による取扱いが容易になるように,微小平面による多面体による表現方法を採用し,対象となるに具および被削材の形状を三角形要素によるサーフェスモデルとして表現した.この三角形要素に対し,分離軸判定に基づく衝突回避条件を線形不等式により定義した.最後に,以上の検討結果に基づき,多軸制御加工時の工具姿勢の計画を行うために求められる最適化問題を,線形計画問題として与えることができることを明らかにした. 2) 加工効率の最適化に関する加工条件の選定 びびりなどの現象は,回転数や軸方向の切り込み量などの切削条件に加え,工具姿勢の影響を受け,加工効率を左右する.本項目では,びびりを抑制し高効率で加工が可能な条件と,工作機械,被削材および工具の機械特性の関係を検討し,望まれる加工条件を選定するために必要な検討を行った.
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