研究課題/領域番号 |
22560109
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 元博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40164256)
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研究分担者 |
井上 晴行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30304009)
押鐘 寧 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40263206)
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キーワード | 精密加工計測 / Point Diffraction Interferometer / 位相シフト干渉計 / 光ファイバ |
研究概要 |
点回折球面波を基準面とする干渉計は、PDI (Point Diffraction Interfbrometer)と呼ばれ、十分に微小な開口から出射した点回折光が真球面に非常に近い波面になる特性を利用している。さらに、点回折球面波の絶対基準としての波面精度を最大限に生かすため、PS (Phase-Shifting)位相シフト法と組み合わせることによって光軸方向にサブナノメ「\ートル以下の高分解能を実現できる計測法がPS/PDIである。本研究の目的は、微小な光ファイバコアの開口から出射した点回折球面波を絶対基準面とした位相ジフト干渉計により、フィゾー干渉計などの実体基準として用いられている平面原器(オプチカルフラット)の絶対形状をサブナノメートルオーダーで計測できる装置の開発である。すなわち、光ファイバ型PS/PDI装置により精度の検証できた波面を用いて、他の干渉計で実体基準として用いられるオプチカルフラットを計測し、サブナノメートルオーダーの精度で評価できることを実証するとともに、硬X線集光用全反射ミラーの超精密加工のために必要な絶対形状の高精度計測への応用を目指す。 昨年度、対物レンズを用いて点回折球面波から生成した平面波の絶対波面形状を評価した結果、サブナノメートルオーダーで波面形状を絶対計測するにはノイズが大きいことが明らかになった。そこで、対物レンズを使用しない新たな計測法の開発に着手し、2本の光ファイバのコアから出射される点回折球面波同士の計測で絶対基準面精度の確認を行った。本年度、その精度悪化の誤差要因が、ガラスレスCCD素子表面での反射光のジグ等による2次反射で生じた迷光による干渉縞ノイズであることを突き止め、その改善のために光源をHe・Neレーザーから低コヒーレンスSLD (Super Luminescent Diode)へ変更した。その結果、計測精度がPV値で3.0mnから0.98nmへ、rms値では0.31nmから0.13nmに向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2本の光ファイバのコアから出射される点回折球面波同士の計測で絶対基準面としての精度悪化の誤差要因が、ガラスレスCCDの素子表面での反射光のジグ等による2次反射による迷光で生じた干渉縞ノイズであることを突き止めるまでに時間を要した。その後、低コヒーレンス光源への変更によりサブナノメートルオーダーの高精度が検証でき、計画の遅れを取り戻しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
低コヒーレンス光源への変更によりサブナノメートルオーダーの高精度が検証できた点回折球面波を用いて、フィゾー干渉計などの実体基準として用いる平面基準原器(オプチカルフラット)の計測を実施し、本ファイバ型PS/PDI装置によって、サブナノメートルオーダーの精度で表面形状が評価できることを実証する。
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