研究概要 |
平成22年度の研究においてはまず、静圧ラジアル・スラスト軸受で構成される既存のエアースピンドルの先端部に新たに開発された能動制御可能な動圧軸受を組み込むことで、「ハイブリッド・エアースピンドル」を設計・製作した。本研究の独創である能動動圧軸受は、軸受面形状を連続した真円軸受であり、動圧を有効に発生させるために軸受面の一部を弾性変形させてくさび領域を形成する。弾性変形領域を形成するために軸受面の背面をワイヤカット放電加工によりくり抜いて弾性ヒンジとし、駆動用に圧電素子を組み込んだ。この能動動圧軸受の製作にあたっては、軸受面の仕上げを加工圧力を小さくできる超精密旋盤により行った。その結果、動圧軸受の軸受面の真円度を1μm以内に仕上げることができた。 スピンドルに組み込まれた動圧軸受の能動制御システムは、基本的にはスピンドル振動を検出する容量型変位計、AD/DA変換器を備えた高速パソコン、そして圧電素子の駆動アンプで構成される。ただし、実験の結果によると、スピンドル振動のうち回転同期成分をバンドパスフィルタで取り出すことで制御効果を高められることが示された。このハイブリッド・エアースピンドルを用いて、回転数50,000min^<-1>までの範囲でのスピンドル回転精度および能動動圧軸受による制御の効果を解析した。その結果、回転数30,000min^<-1>以下においては能動制御によりスピンドルの全振幅を0.1μmオーダにできること、回転数50,000min^<-1>においても動圧軸受の制御効果は見られることを示せた。
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