研究課題/領域番号 |
22560111
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
水本 洋 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (80108795)
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キーワード | エアースピンドル / 静圧軸受 / 動圧軸受 / トライボロジ / 工作機械 / 計測・制御 / メカトロニウス / 圧電素子 |
研究概要 |
本研究では静圧ラジアル・スラスト軸受で構成される既存のエアースピンドルの先端部に新たに開発された能動制御可能な動圧軸受を組み込んだ「ハイブリッド・エアースピンドル」を開発し、スピンドルの回転精度の向上をめざしている。平成23年度の研究においては平成22年度の研究結果を受けて次の改良を行ったエアースピンドルを試作した。1)能動動圧軸受の設計を見直し大型の圧電素子を組み込むなどして出力の向上をめざす。2)制御システムに用いるパソコンを交換してサイクルタイムの短縮を計る。 本年度の前半においては、上記の改良を施した試作エアースピンドルを用いてスピンドル振動に及ぼす能動制御の効果を検証した。その結果、回転数833Hz(50,000min^<-1>)までの範囲でのスピンドル回転精度および能動動圧軸受による調御の効果を確認した。まず、回転数500Hz(30,000min^<-1>)以下においては能動制御によりスピンドルの全振福を0.1μmオーダにでき、最良条件では振動振幅を50nm程度に抑制できた。つぎに、回転数833Hz(50,000min^<-1>)において動圧軸受を能動制御した結果、短時間ではあるが振動振幅を0.1μm程度に押さえることができた。 しかしながら研究目標である性能、「回転速度2kHz(120,000min^<-1>)での全振幅0.1μm以下」にはまだ達していない。そこで本年度の後半においては、研究目標達成のために次の改良を施すこととした。1)スピンドル材質を軽量化することでスピンドルの共振周波数の向上を計る。2)駆動モータを誘導モータから同期モータに交換する。これらの改良を取り入れて設計変更を行ったエアースピンドルを試作し、この改良試作スピンドルの特性解析を次年度に行うための準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目標は「2kHz(120,000min^<-1>)の回転数でのスピンドル振動振幅を0.1μm以下に抑制する」ことであるが、現状は回転数1kHz(60,000min^<-1>)までの駆動と制御に成功しているに過ぎない。研究計画が遅れている理由は、スピンドルの固有振動の低さ、駆動モータのノイズの高さ、そして制御のためのアクチュエータの出力不足などである。いずれの改善にも経費がかかることから、研究費の捻出に苦慮している。
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今後の研究の推進方策 |
研究目標達成のために次の改善を順次実施してゆく。1)スピンドル材質にニューセラミックを使用して固有振動数の向上を計る。2)駆動モータを誘導モータから同期モータに交換してノイズの軽減を計る。3)能動制御する動圧軸受の形状のみなおし、組み込まれる圧電素子の出力増加などにより能動制御の効果を向上させる。 これらの改善がスピンドル性能の向上に有効であることが確認できたところで、最終段階としての切削試験に入る。直径1mm以下のドリル、エンドミルをスピンドルに取り付け、1kHz(60,000min^<-1>)以上の回転速度での切削加工における能動制御の効果を検証して本研究のまとめとする。
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