液晶ディスプレイや太陽電池などの大面積化、あるいは、タッチパネルの普及に伴い、例えば透明で導電性のある薄膜を大面積に安価に作製する方法が求められている。ところが一般的成膜に用いるグロー放電プラズマの発生には真空装置が必要であることから装置が高価になり、その内部での成膜工程は低価格化のネックとなっている。この問題解決には真空装置を用いないことが一番である。そこで我々はこれまでに、大気圧開放下でグロー放電プラズマを発生するトーチを開発し、そのプラズマに原材料を導入することで酸化亜鉛(ZnO)薄膜を作製できる装置を設計試作した。大気圧開放下での成膜システムである事を利用して、大面積に均一に薄膜を作製することを目的としている。平成23年度については、これまで20mmであったスリット幅を、100mmに拡大した装置を試作し、大面積成膜を試みた。また、ガス流れが薄膜の成長に大きく影響を与えることが分かっていることから、ガス流れについて流体用計算ソフト(フェニックス)を用いた理論計算を行うことにより、ギャップ間のガス流れについて推測した。さらに、今回の装置の改良、移動のし方によってミクロに連続薄膜が得られるかあるいは不連続な薄膜が得られるかを調べるため、走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いた薄膜表面微視組織の観察、および、AFMを用いた薄膜試料表面の原子オーダーの形状測定を行った。電気伝導度、および、透過率の測定は現有の装置を用いて評価を行った。今後、さらに装置の改良を行い、目的を達成する。
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