研究概要 |
自動車の軽量化および衝突安全性の向上のための新超軽量ポーラス金属材料の開発を行った.先行開発したその基本要素である中空球(MHS)を成形体とするために,固化成形法について検討を行った. 通電加熱による拡散接合については,コンテナ内に入れた中空金属球を押すパンチ面圧および挟み込む電極の電流密度をおおよそ特定した.通常の粉末成形に用いられる通電加熱と異なり,中空球のためパンチ面圧が高いと潰れる,低すぎると球間でスパークが生じて球殻が消失するなどの問題,電流密度が高すぎると球殻が溶融して接合できないなどの問題があり,実験およびFEM解析にて現象解明をし,これらの加工条件が特定できた.成形体内部の密度分布による電流密度のばらつきについても加工中の電流の経路変化により,特定した条件であれば堅固に接合することも明らかとなった.また,固化成形体の圧縮試験により,従来MHS成形体以上の性能を持つことも示した. ブレージング法については,中空球にハンダめっきを施し,それを積層したのち,めっきの溶融温度に加熱して接合する検討を行った.使用した材質のハンダめっきは,酸化すると融点が高温になり,接合が困難であるため,酸化防止をすること,表面酸化層をコンテナ内で圧化して破壊すると接合が可能になることはおおよそわかったが,現在再現性を確認中である. また,塑性加工による2種類の中空球を開発しているが,串団子状中空球についてハンダによる接合にて試験片を作製し,圧縮および曲げ試験を実施した.従来のMHS成形体に比べ,性能が高いことが明らかになった.従来ポーラス金属は引張り変形に弱いが,串団子状MHS成形体の引張り・曲げ強度は高く,ピラー等の曲げ衝突エネルギー吸収部材への適用可能性が示された.
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