研究概要 |
[研究目的] 本研究では実験的に切削抵抗と切屑流出角度を測定し、2次元切削モデル平面の考察に寄与する実証的データの収集と理論的考察を研究目的とする。 [2011年度実施内容および成果] 実験観察の容易さを求めて、実際のボールエンドミル工具の刃先寸法を拡大したスケールモデルと称する刃先(高速度合金鋼、円弧切れ刃半径90[mm]、すくい角[0°]、逃げ角[10°]、ねじれ角[0°])1枚を製作し、スケールモデルを固定した旋削における切屑流出角の画像測定と切削抵抗の実測を行った。被削材はアルミ合金A2017(厚さ3[mm]直径120[mm])の円盤で、画像解析には接写レンズを取り付けたハイスピードカメラ(シャッタースピード1/1000[s-l],フレームレート250[f・s-l])を用い、スケールモデルに設けた基準溝に対する切屑流出方向の角度測定を行った。切削抵抗はスケールモデルにかかる力を測定し、工具すくい面上への投影成分の方向(以下、投影切削抵抗方向)を測定した。実験条件は、切削速度124[m・min-l]、切取り厚さ0.12[mm]、送り40[mn・min-l]で、工具姿勢の切れ刃接触角と傾斜角を定義し、両者をパラメータとしで実験を行った。実験結果の考察では、切屑流出角に関するColwell経験則とStabler経験則を合成した実験式を仮定し、それを介して切屑流出角と投影切削抵抗方向との比較を行った。切れ刃接触角を変化させた場合、両者は実験式と同様の値を示し、実験式との平均偏差はそれぞれ2.7[°],1.4[°]であった。切屑流出方向と投影切削抵抗方向の平均偏差は1.8[deg]となり両者はほぼ一致した。傾斜角を変化させた場合、実験式との平均偏差はそれぞれ2.7[°],3.8[°]で、実験式とは異なる傾向を示し、切屑流出方向角は投影切削抵抗方向角の約0.77倍となった。
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