研究概要 |
(内容)平成22年度は、平面ひずみ押出し加工実験を利用して、微細溝列工具による製品表面平滑化への潤滑剤の粘度の影響を溝なし平面工具を使用した場合の結果と比較し、加工材の変形領域全体におけるひずみ分布の算定や製品部の硬さ分布の測定による評価を行った。平面工具(溝なし平面工具)と微細溝列を施した平面工具を使用して冷間平面ひずみ押出し加工実験を実施した。本研究で使用した平面ひずみ押出し加工試験装置はダイス半角45°のテーパダイと平面工具(試験面)で金型部を構成している.平面工具表面に微細溝列を設けた溝列平面工具は、溝列が頂角60°のV字溝を平面工具の金型内部(塑性変形領域部分)試験面に押出し方向に直交する方向へ3本平行に配置している。加工材に純アルミニウムA1050材を使用し、試験用潤滑油には粘度の異なるパラフィン系無添加鉱油VG32とVG460の2種類を使用した.加工表面粗さが潤滑油粘度の違いで異なる場合と,溝列工具により粘度が異なってもほぼ同じ加工表面粗さとなる場合について,格子線解析により相当ひずみ分布を算出し,加工材の硬さ分布と比較検討を行った。溝列工具を使用した場合、溝なし平面工具を使用した場合と比較して、製品表面性状や塑性変形領域全体のひずみ分布に及ぼす潤滑油粘度の影響は小さいこと、表面層に加工硬化が生じ表面硬度が増すことがわかった。 (意義と重要性)製品表面平滑化は,製品の美観,表面損傷防止や表面強度特性の向上に寄与する。押出し加工を利用した製品表面平滑化において、微細溝列工具の利用は、製品表面の平滑加工を可能とするとともに、製品表面硬度や製品内部の変形への潤滑剤の粘度の影響が小さくなることが確認できたので、使用する潤滑剤粘度の選択範囲が広くなることがわかった。
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