研究課題/領域番号 |
22560116
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
上谷 俊平 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 准教授 (40204622)
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キーワード | 塑性加工 / アルミニウム / 潤滑油 / 表面テクスチュア |
研究概要 |
(内容)平成23年度は、実験用材料にアルミニウム材A1050を使用し、平面ひずみ押出し加工タイプ試験装置による冷間押出し加工実験を行った。次の3点について成果を得た。(1)工具表面に微細加工を施さない場合の摩擦計測実験により、潤滑油粘度の違いによる摩擦係数の比較を行った。摩擦係数と粘度、製品表面性状との関連性を明らかにした。(2)微細ピットを平面工具表面に施した場合の潤滑油特性評価について検討を行った。製品流出方向(製品曲がり量)と被加工材の塑性流れの関連性を、平面工具に微細ピットを設けた場合と設けない場合について比較検討し、潤滑油粘度と潤滑油の種類、工具の組み合わせで製品流出方向(製品曲がり量)が変化することを明らかにした。(3)工具表面に設けた微細溝列を使用して押出し加工実験を実施し、表面平滑化への潤滑剤種類の影響を検討した。潤滑油の粘度がほぼ同程度の5種類の潤滑油を使用して比較実験を実施した。潤滑油粘度が同程度でも、潤滑油の種類が異なると、押出加工初期に加工材の微少流入によって形成される溝列形状に違いが見られることと、製品表面の粗さが異なることを明らかにした。 (意義と重要性)塑性加工において、工具表面に設けた表面テクスチュア(微細ピット、微細溝列)を利用する場合に、潤滑油粘度、潤滑油の種類の組み合わせで、表面テクスチュアの効果が異なることを明らかにした。塑性加工における潤滑性の向上や表面品質の向上の目的で工具や被加工材表面に微細穴加工や微細溝加工などの表面テクスチュアを活用する技術において、表面テクスチュアと潤滑剤の組み合わせが重要であることを示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、塑性加工における潤滑性向上や表面品質の向上の目的で工具や被加工材表面に微細穴加工や微細溝加工などの表面テクスチュアを活用する技術において、表面テクスチュアを有効に活用するために潤滑剤の評価を行っている。工具面の摩擦係数の測定に関しては予定よりも遅れているが、平面ひずみ押出し加工実験を利用して、微細穴加工や微細溝加工を施した加工材の摩擦面近傍及び変形領域全体における塑性流れ解析(格子線解析によるひずみ分布の算定、硬さ分布、製品曲がり量の測定)により、各種潤滑剤の性能評価を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題に関しては、工具表面テクスチュアが摩擦面に及ぼす影響を摩擦計測により検討する点が遅れており、この部分を遂行していきたい。これまでの実験から,いくつかの改善すべき事項が明らかになったので,今後,摩擦計測用平面工具の改良と製作を行い、工具面摩擦測定部の摩擦力計測を平面ひずみ押出し加工実験を実施して行う。平成24年度は工具表面に微細加工(微細ピット)を施こした平面工具において,鉱油とパーム油を使用した場合の摩擦計測を行う予定である。
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