研究概要 |
初年度は手持ちのマグネトロン発信機をベースに大気圧プラズマ発生システムの構築を行った。具体的には、使用を予定しているAr, He, O_2, H_2, CF_4の各種ガス配管と定量供給のためのプログラム式マスフローコントローラーを購入し設置した。プラズマトーチについては、トライアンドエラーを繰り返しながら、安定して大気圧プラズマを発生できる基本構造を見いだすことができた。予備的な実験の結果では、化学的安定性の高いダイヤモンド膜を高速でエッチング可能と推察される高密度プラズマの生成に成功した。プラズマ密度が高いためにトーチ形状を真円から楕円、矩形と変化させた場合でもノズル形状と同等の照射形状のプラズマが得られることも確認した。長時間の使用に対応できる冷却機能の付与が課題である。評価対象のダイヤモンド膜にプラズマを照射するためのX-Yステージの製作を完了し、パソコンから任意の移動速度で制御できるシステムとした。すなわち、大気圧プラズマによるダイヤモンド膜の除去加工に関する基本的なハードの準備は完了した。 ダイヤモンド膜の合成については、通常(ノンドープ)のダイヤモンド膜の他に導電性を付与したボロンドープダイヤモンド膜も用意できる体制を整えた。ダイヤモンド膜へのプラズマ照射実験についても予備実験を開始している。比較的プラズマが安定するHeをベースとした照射実験によれば、ダイヤモンド基板がかなり加熱されることが明らかとなり、ダイヤモンド膜の表面性状に変化が認められた。次のステップである本格的なエッチング条件の最適化に必要な準備が整ったことを確認した。
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