研究概要 |
極微細切削加工に対する要求が高いのに対し,現状では,切削の状況そのものが十分に解明されておらず,加工現場では,加工精度不良や工具折損などの問題がある.本研究では,極微細径(直径30μm以下とする)の回転切削工具としてのエンドミルによる(1)微細切削挙動の解明,および(2)効果的な切削法の提案に関する研究を実施する.当研究年度における成果の概要を以下に述べる.上記研究テーマ(1)では,単粒を用いた微細切削加工において,ガラスを切削した場合の切削挙動を調査した.特に,超音波振動を用いた場合の切削挙動の変化に注力して実験により調査した.工具として,粒径50~100μm程度のダイヤモンド砥粒電着砥石を準備し,実験装置には,リニアモータ型精密ステージを用いて,各種の加工条件にて単粒引っかき実験を行った.その結果,超音波振動が無い場合のガラスの切削機構,および超音波振動がある場合のそれに関して,切削機構の変化や超音波振動による効果を捉えることができた.すなわち,極微細径工具における切削挙動の一端を明らかにすることができた. 研究テーマ(2)では,超音波振動を回転切削工具に利用する方法を検討した.はじめに微細径ダイヤモンド砥粒電着砥石に超音波振動を効果的に作用させることができる実験装置の開発を行った.その結果,極微細径工具を高精度に保持でき,主軸アンバランスを微小とし,かつ工具に周波数41kHzの超音波振動を与えることが可能で,40,000min-1で高速回転することが可能な工作機械の主軸を開発し,それをさらに高性能かつ高寿命の主軸とすることができた.切削実験では,セラミックスや超硬合金に対する形状切削実験を実施した.その結果,超音波振動切削により工具の折損が防止できることなどの効果を明らかにすることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
極微細径回転工具の振れまわり挙動に関する研究の進捗は,初年度~23年度を見込んでいたが,初年度においてその成果をほぼ達成した,そのため,23年度では,単粒での微小切削挙動を調べるといった,より発展した研究を実施することができ,達成目標の内容を充実させることができた.超音波主軸開発も,23年度において目標をほぼ達成することができた.
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今後の研究の推進方策 |
極微細径切削工具に関して,超硬合金,cBNとステップアップしてきたが,最終年度では究極の工具であるダイヤモンド工具に挑戦する.ダイヤモンド工具への展開は,本研究の次のステップにもつながる究極目標であり,これまでの成果を踏まえて,最終年度にそれに挑戦する.これまでの知見を踏まえた微細径ダイヤモンド工具を製作し,それにより高硬度材料を切削し,本研究成果を総合的にまとめる.
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