研究概要 |
直径数mm以下の微小径ダイヤモンドエンドミルを用い,焼入鋼に対する溝加工実験を行い,主軸動バランスおよび工具回転数と切削された溝の性状との関係を調査し,切削挙動に関して解析した.これによって,ダイヤモンドボールまたはスクエアエンドミルにおける切削挙動を明らかにした.実験は,超精密加工機を用い,直径数mmのダイヤモンドスクエアまたはボールエンドミルを試作した.工作物には,組織が均質で高硬度な焼入鋼および窒化処理鋼を使用した.主軸回転数は~40,000min-1の範囲で変化させた.なお,工具の振れ回りは5μm以内とした.切削された溝形状,切削表面の変化に関して観察した結果,良好な切削特性が得られる切削条件を見出すことができた. 極小径細長工具による良好な切削を可能とする超音波スピンドル装置の開発に関するテーマでは,直径数mmのアスペクト比が5以上の研削砥石などの工具による良好な切削を可能とするために,超音波振動を発生させることができるスピンドル装置による切削機構を明らかにした.まず,単粒モデルによる超音波振動研削機構の解明を行った.すなわち,振動素子をビルトインした超音波振動スピンドルによる単粒の引掻き試験を実施し,振動条件と切削特性との関係を明らかにした.次に,高速超音波スピンドルによる加工実験を行った.すなわち,前記要素を具備する高速超音波スピンドルを製作し,総合性能を評価した.具体的には,超硬合金,焼入鋼,あるいはセラミックスやガラスなどの高硬度および脆性材料を微小切削し,その切削特性を明らかにした.すなわち,切削された溝形状などの変化を観察し,超音波振動の効果および試作スピンドルによる加工結果を評価し,その有効性を明らかにした. 前記の研究成果は,精密工学会およびプラスチック成形加工学会といった関連学会へ口頭発表あるいは論文投稿により行った.
|