研究概要 |
近年,デジタルカメラ等のデジタルデバイス,体内検査用のマイクロカプセル等の医療デバイス,ブルーレーザなどのDVDデバイスにおいて,マイクロ非球面レンズの微小化,高精度化のニーズが急激に増大している.そこで,本研究ではその成形金型を従来法より更に超精密加工するため,超音波2軸振動援用研磨法と,そのピエゾ素子の複合振動メカニズムの提案を行い,その超音波2軸振動研磨における研磨メカニズム,現象を解明すると共に,その最適化を行い,上記のような微小なマイクロ光学部品の微小化,超精密化を行うことを目的とするものである.そのために,H22年度は(1)超音波振動解析により超音波2軸振動発生装置の構造,最適な振動子の構造解析と試作,(2):コンピュータ制御の5軸(X,Y,Z,B,C)制御の滞留時間制御研磨装置・システムの構築・試作を行った.H23年度はさらに,H22年度に開発された超音波2軸振動装置だけでは,振幅が温度上昇などの影響で長時間の安定は困難であるため,2軸振動ピエゾ素子の各振幅を計測し補償する回路を作製し付加した.工具の2軸振動周波数:20-25kHz,振動工具の振幅(X,Y方向):10-20μmを達成した、またダイヤモンド粒子の挙動の解明が重要であるため,工作物に透明なガラス板を用い,既設のマイクロスコープ(キーエンス製)を研磨工具の反対側に設置し,各種超音波の条件で砥粒の微視的挙動を観察し,最もランダムな挙動を示す条件を見つけ,加工条件の最適化を図った.軟質ポリウレタン樹脂(硬度50,70,90)を加工して表面粗さの改善を図り,工具の表面粗さ,研磨荷重,振動数,振幅などを変化させて最適化し,形状修正する上で有利なように単一加工痕の形状V型となる研磨条件を見出した.
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今後の研究の推進方策 |
マイクロウレタン工具に超音波2軸振動を付加することにより,遊離砥粒作用に伴う単一加工痕の表面粗さが極めて安定し,単一加工婚の断面形状もV型となりマイクロ形状創成研磨が優位に行える条件を同定した.そして,非球面金型を実際に超精密研磨することが可能な装置も構築することができるなど,計画以上の精度が得られることが明らかとなった.今後は実用レベルのマイクロ非球面金型を用いて研磨実験を繰り返し,さらに精度と能率を向上させることに注力する.特に,金型材質は超高合金のみならず,SiC,グラッシーカーボン,無電解Niなども検討を重ねていき,実用化を図っていく.
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