近年,デジタルカメラ等のデジタルデバイス,体内検査用のマイクロカプセル等の医療デバイス,ブルーレーザなどのDVDデバイスにおいて,マイクロ非球面レンズの微小化,高精度化のニーズが急激に増大している.本研究ではその成形金型を従来法より更に超精密加工するため,超音波2軸振動援用研磨法とそのピエゾ素子の複合振動メカニズムの提案を行い,超精密化を行うことを目的とするものである.H22年度は,振動解析による超音波円2軸振動研磨ヘッドおよび研磨ツール形状の最適化,研磨装置の試作,平成23年度は,超音波円振動安定化システムの検討,超音波円振動援用研磨法におけるマイクロ砥粒粒子の挙動,加工現象の実験的解明,研磨条件の最適化を図った. 平成24年度は,前年度に完成した超音波2軸振動装置において,2軸振動のX方向とY方向の振動の位相を維持しながら,振幅を2方向に変化させ,振動の軌跡を円形状,楕円形状,ランダムな軌跡にできた.振動の軌跡による工作物の表面粗さへの影響について検証し,研削加工した平面形状の超硬合金製工作物を用いて,振動形状による表面粗さの変化をシミュレーションし,実験結果と比較し,最適な振動モードを求めた.さらに,超音波2軸振動援用研磨法によるマイクロ非球面の研磨検証を行い,超精密研削装置(ULG100D(SH3),既設)とマイクロダイヤモンドホイールを用いて前加工した超硬合金製非球面金型を用いた微小研磨加工実験を行い,形状精度0.2μmP-V,表面粗さ20nmRz程度に仕上げ,形状精度の向上と表面粗さの向上を確認するなど,本提案法の有効性を実証することができた.
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