研究概要 |
バイオフィルムは,細菌が固体表面上で増殖して細菌膜構造を形成した状態をいう.浄水系としての実用例があり,さらなる応用が燃料電池や光合成促進など環境分野で期待されている.通常,バイオフィルムは任意に形成されるため,バイオフィルムの実用的な高効率利用には所望形状や構造のバイオフィルムを得る必要があるが,現状ではBF形成制御手法は未確立である.そこで本研究では,紅色光合成細菌を例に,微細表面凹凸形状を施した固体表面を用いることで,細菌の増殖およびバイオフィルムの形成と構造の制御の実現を目的としている.具体的には,形状や寸法が異なる微細凹凸形状を加工した固体表面上で細菌の培養を行い,バイオフィルム形成機構の定量的な解明と制御方法の確立をめざしている. 本年度は,基板材質候補としては,金属系,高分子(プラスチック)系,シリコン(Si,SiC,SiO2,Si3N4)系の材料についてを検討し,同一材質でも,表面粗さ並びに色(透明・不透明)についても考慮して,いくつかの候補を設定し,基礎実験として微細表面加工をしていない状態での紅色光合成細菌バイオフィルムの形成状態を時系列的な観察により実験的に調べた.ついで,同一基板材質において,形状,寸法(水平(基板面内)・垂直(深さ),表面粗さ)を微細加工技術によって変え,紅色光合成細菌バイオフィルム機能表面の形成実験を行い,時系列的な観察を通じ,表面形状とバイオフィルム形成条件の関係を実験的に明らかにした.
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