研究概要 |
回転運動と直動運動を実現する二自由度モータについて,回転速度と直動位置を独立に制御するサーボ系の構築を目指し,サーボ性能を高める観点からのモータ形状の最適化を行うとともに,出力軸の回転角度と直動位置を同時にかつ非接触で検出するモータ内に内蔵可能なセンサを開発する.平成22年度は,二自由度モータに内蔵する回転角度・直動位置同時検出センサについて,ユニークかつ二自由度モータの特性に適した方法として,ロータ自体をセンサターゲットとする光学式の非接触検出法を開発した.二自由度モータは,出力軸が回転しながら直動するので,既存のロータリーエンコーダと変位センサをモータ内部に搭載して,回転角度と軸方向変位を同時に計測することが難しい.当研究で開発したセンサの検出原理は,ロータの円筒表面に四色の印刷されたカラーセルをターゲットとして設け,このセンサターゲットに対し,緑色と赤色の異なる光源の光を当て,その反射光の強度を光電センサで検出するものである.各色のカラーセルの反射率は,照射光の波長(光源色)により異なるので,一方の光電センサ用には軸方向の目盛(縞模様),もう一方の光電センサ用にはこれと直交する目盛が形成され,回転方向と直動方向の位置を独立にかつ同時に検出することができる,さらに,このセンサを二自由度モータに内蔵する試作モータの改良を行い,これを制御するドライバとコントローラを用意した.基本的なPID制御を適用して作動試験を行い,まだ制御精度は粗い状態ではあるが,内蔵したセンサの出力を基に,回転と直動の独立したサーボ機構が構成できたことを基礎試験により確認した.
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