研究概要 |
近年,塑性加工におけるネットシェイプ化が進んでおり,これらの加工時には,被加工材の表面積拡大比が非常に高くなる.そのため,このような厳しい加工表面環境でも使用できる潤滑剤や被膜の開発が求められている.潤滑剤や被膜の開発においては,摩擦特性を評価することが必要不可欠であり,厳しい表面状態を想定したトライボテストにより評価を行うことが望まれる.一般的なトライボテストとしては,リング圧縮試験やしごき試験,ボール通し試験などがあるが,被加工材の表面積拡大比は2倍程度と低い.一般的な鍛造品では,表面積拡大比が最大で40~100程度まで高くなるため,これらの試験方法による評価では,対応不十分である.そこで,従来のテーパカップ試験を改良し,FEM解析を用いて新たなコニカルカップ試験であるトライボテストを考案した.このトライボテストは,後方押出しのパンチ先端部にテーパ角を付与させたモデルであり,テーパ部において高い表面積拡大域と高い垂直応力が発生する.本研究では,コニカルカップ試験法を確立するため,代表的な4種類の潤滑剤について評価を行い,また,温熱間条件にて評価をし,リング圧縮試験との比較を行った.その結果,FEM解析より,コニカルカップ試験においてストローク6mm以上では,ストロークXと表面積拡大比Sの関係は,S=一15,88+4.08Xで表すことができることがわかった.コニカルカップ試験における結果は,基礎的トライボテストであるリング圧縮試験の結果と類似していた.
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