環境負荷低減と機械の長寿命化に有効な「プロアクティブ(原因除去型)保全」には劣化初期段階での潤滑油診断が必要不可欠である。本研究では、これを可能とするために、可視域アレイ導波路回折格子の分光機能を利用した高感度・極微少量潤滑油劣化センシングシステムの開発を目指す。平成24年度は,測定法の標準化を行い、実機潤滑油の劣化進行過程のモニタリング試験を行った。 (1)超小型高感度潤滑油劣化センシングシステムの構築(本田・大学院生):極微少量の試料油で簡便に劣化診断ができるチップ型センシングモジュール開発の前段階として、潤滑油中に直接挿入しオンラインでモニタリング可能な光学センシング装置の試作・評価を行った。実機ギヤ油にて検証を行った結果,本研究で考案した色パラメータが潤滑診断に有効であることがわかった。 (2)試料油の劣化度と測定感度との関係(本田・大学院生):試料油の劣化度と測定感度の関係を調べるために、初期の酸化状態を細かく段階的に変化させた試料油を作製し実験を行った結果、汚染物の色と試料油の化学的性質との関係が明らかになり、プロアクティブ保全のキーポイントとなる第一段階の酸化生成物を検出可能であることがわかった。 (3)フィールドテストによる実機潤滑油の劣化進行過程のモニタリング(本田):発電所のタービン軸受オイルを定期的にサンプリングし、劣化進行過程をモニタリングした結果、本研究で考案した色パラメータが潤滑診断に有効であることがわかった。 (4)研究成果の公表(本田・院生):国内学会、国際会議における研究発表により広く研究成果を公表するとともに、討論を通じて次の課題を明らかにした。
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