研究概要 |
浄化速度を高めるのに適した内部構造の探求を主たる目的として,H22年度は以下の項目について研究を実施した. 1.フィルタモデルによる浄化実験 内部形状の異なるフィルタモデルを合計10種類試作し,浄化性能を評価した.フィルタモデルは大別すると2タイプに別れる.一つは,注入電極とコレクタ電極が直接対向する形式で,注入された電荷は油の流れに乗ってコレクタ電極へ移動する.両電極間に挿入されるフィルタエレメントは,電荷の移動を妨げないよう穴を開けるなどしている.もう一つのタイプは,両電極がフィルタエレメントによって完全に分断され,注入電極から注入された電荷はフィルタエレメントに向かって移動する.このタイプでは,コレクタ電極にも突起を加工して,両電極から電荷を注入する形状も作製した.両タイプにおいて浄化性能に大きな差は見られなかったが,両電極から電荷を注入し汚染物粒子をフィルタエレメントの両面で捕捉する形式がもっとも浄化性能が良くなることがわかった.また,それぞれのタイプの中で最も良い形状を見出すことができ,両タイプの得失も明らかとなった. 2.2次元フィルタモデル内のイオンドラッグ流れの測定 試作したほぼすべてのフィルタモデルについてその2次元モデルを製作し,イオンドラッグ流れを測定した.電極の突起部から生じるイオンドラッグ流れの大きさと強さが明らかとなり,電極等の形状と浄化性能の関係の考察に役立てることができた. 3.イオンドラッグ流れ場の数値解析のための基礎研究 2次元フィルタモデル内のイオンドラッグ流れの数値解析を実施して実測流れ場と比較することで,本数値解析で重要となる注入電荷密度とイオン移動度の与え方について検討した.
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