| 研究概要 |
本研究は、ニアドライ加工用の油剤として合成系含酸素化合物を適用したときの作用機構をトライボロジー的に検討するとともに、この加工法の高性能化と複合化のための研究開発を行うことを目的としている。本年度に得られた成果は以下のとおりである。
1.各種含酸素化合物の探索とトライボロジー特性の評価
探索した合成系含酸素化合物の中では、ポリオールエステルおよび高級アルコールが効果的であり、それらの潤滑性能は前者では蒸発性と、後者では分子構造とよく相関することが明らかとなった。
2.各種含酸素化合物の潤滑挙動におよぼす吸着特性の影響の考察
雰囲気制御型切削試験機を用いて、エステルおよびアルコールのモデル化合物の金属新生面への吸着特性を調べた結果、アルミニウムに対しては、とくにアルコールの吸着活性が高いことを実証した。
3.キャリアガス中湿度の制御法の確立
環境への負荷が極めて小さく、しばしばアルミニウムの摩擦に対して好ましい挙動を示す水が,アルムニウム合金のMQL加工にも効果を発揮すること,さらにはキャリアガス中の湿度を一定レベルで維持してMMQL供給すると切削性能が向上することを究明できたため,とくに後者の加湿式MQL加工法について、キャリアガス中湿度の制御法を確立した。
4.複合ミストによるステンレス鋼のニアドライ加工法の検討
複合ミスト方式のニアドライ加工法が、JIS SUS304、SUS410、SUS430、SUS630などのステンレス鋼のどの材種に有効であるかを検証した。
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