研究課題/領域番号 |
22560144
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
若林 利明 香川大学, 工学部, 教授 (00294736)
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キーワード | 環境対応 / トライボロジー / ニアドライ加工 / MQL加工 / 含酸素化合物 |
研究概要 |
本研究は、ニアドライ加工用の油剤として合成系含酸素化合物を適用したときの作用機構をトライボロジー的に検討するとともに、この加工法の高性能化と複合化のための研究開発を行うことを目的としている。本年度に得られた成果は以下のとおりである。 1.各種含酸素化合物の実用切削性能の評価 エステル、アルコール、脂肪酸などの合成系含酸素化合物をアルミニウム合金用MQL加工油剤として取り上げ、これらの実用切削性能を評価した結果、エステルとアルコールを混合することで、それぞれを単独で使用するより優れた切削性能を示す場合があることを究明した。 2.キャリアガス中湿度を制御した加湿式MQL発生装置の開発と切削性能評価 昨年度確立したキャリアガス中湿度の制御法にもとづいて、その湿度を一定レベルで維持してMQL供給することが可能な加湿式MQL発生装置を開発した。また、この装置を用いて、各種の合成系含酸素化合物を潤滑剤に用いたアルミニウム合金の実用切削性能評価を行った結果、加湿がこれら化合物のさらなる性能向上に有効であることを実証した。 3.複合ミストによる難削材のニアドライ加工法の検討 ステンレス鋼に対する有効性が確認できた複合ミスト方式について、代表的難削材であるチタン合金の加工への適用性を明らかにするための評価法に旋削加工を採用し、その評価の切削条件を検討した。さらに、潤滑剤として合成エステルを用いた油剤ミストと水溶性切削液ミストとを組み合わせた場合の切削実験を行い、この評価法の妥当性を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画にしたがい、(1)各種含酸素化合物の実用切削性能の評価、(2)キャリアガス中湿度を制御した加湿式MQL発生装置の開発と切削性能評価、(3)複合ミストによる難削材のニアドライ加工法の検討、の3つの課題について実験的研究を行い、上記「9.研究実績の概要」に記載したとおりの成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果にもとづき、研究期間の最終となる平成24年度は(1)アルミニウム合金の加工に最適なニアドライシスデムの提示、および(2)難削材の加工に最適なニアドライシステムの提示、の2つの課題に関する実験的研究を行い、それらの成果をまとめる。 研究が当初計画どおりに進まない場合には、研究協力機関との打ち合わせを通じて、その原因をさぐり、軌道修正を図る。
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