研究概要 |
本研究は,超音波振動により微小物体を移動・集積させる技術を利用して,活動が活発な微生物を意図的に電極付近の適切な位置に配置することで,微生物燃料電池の発電性能を向上させることを目的とする.研究計画に沿って次の3項目を実施した 1.微生物等の実験準備と実験装置の開発 微生物については,申請者の研究機関において生育させるために必要な設備を整えたうえで,微生物燃料電池用の微生物である紅色光合成細菌を連携研究者から株分けしてもらい,発育させた.実験装置となる燃料電池は,従来の研究結果との比較ができるよう,基本的な微生物燃料電池の構造で作成した.プロトン交換膜にはナフィオン,電極にはカーボンペーパを用い,これらを接合させてMEAを自作した.発電計測のための装置は現有機器を改良して構成し,また微生物の観察のために顕微鏡システムを準備した 2.微生物燃料電池の基礎的性能評価 発育させた微生物と実験装置を使用して燃料電池を構成し,基礎的な発電実験を行った.実験結果を他の研究者によるデータと比較し,標準的な出力が得られることを確認した.また,超音波が微生物の活動自体に悪影響を及ぼさないことを確認する実験を行った.微生物を樹脂容器に入れ,超音波洗浄機で超音波を十分に放射した後に発電実験を行ったところ,標準的な出力を得ることができた.顕微鏡による観察を行っても,違いは見られなかった.これにより,想定する超音波利用の程度では,微生物への悪影響はほとんど無いことが確認された 3.微生物の移動操作実験 超音波振動により微生物の位置を操作する実験として,まず小麦粉を対象として微粒子集積実験を行った.薄い板底を有する容器に小麦粉を入れて振動を与えることで,底板の固有振動に応じた集積が行えることを確認した
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