AMeDLCの開発にあたり、適切な合金種(AMe)を選定するため、CuDLCの摩擦摩耗特性を重点的に解析した。AgDLCについても実験を行い、比較検討を行った。 CuDLCの摩耗の初期段階において、Cuが優先的に相手材に移着することにより相手材表面にトライボ膜が形成されること、並びにそのトライボ膜の成長過程は、面圧によって大きく異なること等が見出された。これは、金属種の機械的性質が摩耗や電気伝導に大きく影響を及ぼすことを示唆している。 またOCuDLCの摩擦係数は、雰囲気中の酸素の有無にあまり影響を受けなかった。これに対して、酸化されやすい銀を用いたAgDLCでは、雰囲気中の酸素の摩擦係数と電気伝導に対する影響が大きいことが明らかになっており、金属種の化学的安定性が重要であることが裏付けられた。 これらは、AMeDLCの改良において最適な金属種を選定する上で有力な知見となり、銅合金2種類を次年度の候補金属種として選定した。
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