研究課題/領域番号 |
22560150
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
伊藤 耕祐 日本大学, 工学部, 准教授 (40420004)
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キーワード | トライボロジー / 機械要素 / 設計工学 / 炭素系材料 / 電気自動車 |
研究概要 |
CuDLCの摩擦特性に及ぼす摩擦生成膜(トライボ膜)の影響を解析し、以下の点を明らかにした: (1)摩擦相手面に銅を主成分とするトライボ膜が形成された場合、摩擦係数は0.15で比較的安定しており、接触圧力や大気雰囲気の影響(大気中or真空)を受けにくい。 (2)トライボ膜のナノ硬度は最大でも2 GPaであり、CuDLCおよび相手材(スチール)と比較して大幅に低硬度であった。 (3)接触圧力はトライボ膜の生成過程に大きな影響を及ぼすが、膜の硬さにはほとんど影響しない。 相手面に銅を主成分とするトライボ膜が形成されたことにより少なくとも局部的に銅同士の接触が発生するため、真空中の摩擦係数は大気中よりも大幅に上昇したり不安定になることが予想されたが、その逆であった。次年度は、真空中と大気中の挙動の相違を詳細に解析し、メカニズムの解明と材料の改良につなげてゆく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(1)東日本大震災で被災し、復旧対応とそれに関連する校務に多大な時間を費やしたため。 (2)試験片の供給元である東北大学も被災し、試験材料の研究開発に必要なマシンタイムの確保が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
当初目標としていたAMeDLCコーティングの改良を実施するために十分な時間的余裕は無くなったが、接点材料としての電気特性および摩擦・摩耗特性を明らかにするという主目的を達成すべく、夏期休業中等に学生の研究補助員を最大限活用して研究を進めてゆく。 その中でも特に、摩擦・摩耗および電気特性の変化に大きな影響を及ぼす雰囲気中の酸素による摩擦面の酸化現象を比較解析するために、JAXAと共同で超高真空中の摩擦実験および解析を行う。
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