研究概要 |
平成22年度に設計製作した吸込管直径200mmの大型模型水槽を用いて、流量と水位をパラメタとして渦の発生範囲を計測した。またその結果を従来の吸込管直径100mm,50mの中型、小型模型水槽での渦発生状況と比較し、相似則を検討するための基礎的なデータをまとめた。空気吸込渦と水中渦の両方について、流量や水位への依存は大型と中型模型では定性的には同等であるが、一部に差異が見られ、考察を要する。それぞれのサイズの装置において、空気吸込渦の発生限界がフルード数によって整理できる領域と、水位のみで整理できる領域とが存在することが明らかになった。前者についてサイズの異なる装置の間では(フルード数ではなく)流速一致に近い相関関係があることが分かり、流速を一致させるような換算によって渦マップがほぼ一致することを確認した。空気吸い込み渦について米国規格ではフルード数一致、日本の規格では"中間流速"一致が吸込渦の相似則であるとされているが、そのどちらとも異なる相似条件が得られている。一方、後者については明確な相似則がまだ見つかっていない。水槽の水面に発生する波が大きい場合には空気吸込渦の発達が阻害されて発生限界が低下するとの説があるが、本実験での渦の発生状況がその影響によるものかについては、H24年度に解析を試みる。このために水面の非定常な動きを定量的に把握する必要があり、波高計を購入して測定の準備を行っている。23年度中には測定を始めるには至らなかったが24年度に計測を行い、波と渦との関係も合わせて明らかにする予定である。
|