本研究は次世代大型水平軸風車の設計・開発に必要となる「流体-振動連成解析ツール」を構築することを目的とし、以下の研究課題を遂行することにより、解析ツールの提案・妥当性検証を行うものである。 ①風車構造系の振動モデル構築と流体系空力解析モデルとの連成,②小型風力タービン実験結果に基づく連成解析モデル妥当性評価,③風車負荷と風況の相関解析と空力解析モデルの妥当性評価 平成24年度に実施した研究内容を以下にまとめる。 1.連成解析モデルの構築と検証(項目①,②に対応): 平成23年度に構築した風車タワーに関する改良モデルを含めたパネル法に基づく流体解析モデルとマルチボディダイナミックス法に基づく構造解析モデルを弱連成させて数値解析を実施した。NREL風車による実験結果と比較検証を行った結果、フラップ方向(回転軸方向)とリードラグ方向(回転方向)への構造系負荷変動の周波数特性につき定性的な一致が見られ、連成解析モデルの妥当性がある程度検証できた。また、Veersモデルに基づく乱流流入風モデルを用いて、流入風乱れ強さが構造系の等価疲労負荷に及ぼす影響を調査した。その結果、乱れ強さはフラップ方向成分には支配的影響を及ぼし、リードラグ方向への影響は些少であることが判明した。 2.空力解析モデルの妥当性検証: 風速変動ならびにそれに伴う運転制御時の過渡特性を正確に見積もるためには,空力解析モデルにおいて風車後流の慣性効果を正しく評価することが必須である。本研究項目では,乱流流入風時ならびに一様流入風時において,風車運転制御を行い,風車後流ならびに風車空力特性の過渡応答性を数値解析ならびに小型風車実験により調べることにより,空力解析モデルの妥当性を確認した。
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