研究課題/領域番号 |
22560171
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
福富 純一郎 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (30035646)
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キーワード | 再生可能エネルギー / 流体工学 / マイクロ水力 / ポンプ逆転水車 / ターボ機械 |
研究概要 |
マイクロ水力利用の環境下において水車に流入する木の葉や小枝、砂利等が、羽根車流路を閉塞し、出力低下や運転不能状態を引き起こずため、マイクロ水力利用における大きな課題となり、ブレイクスルーが強く要望されている。ここでは、これまで研究開発し汚水用ポンプとして実績のある、一枚羽根ポンプを逆転水車としそ利用し、安価でメンテナンスが容易な高勧率・高通過性水車を開発することによって、マイクロ水力利用を大いに促進するとともにCO_2削減に寄与しようとするものである。平成23年度に実施した研究成果は以下のとおりである。 (1)ポンプ逆転水車の高効率化 ポンプとしての羽根出口角β_2の大きさが水車運転の羽根車入口、出口流れに及ぼす辮を流れの数値計難果から調べた。最高効率点流量において、ポンプとしての羽根出口角(水車としての入口角)がβ_2=8°と16°の場合を比較すると、β_2=16°の方が水車運転において羽根に沿って流入、流出していること、β_2=8°では羽根の先端で流れの剥離が生じ、羽根出口付近では逆流が生じていることが見出された。さらに、β_2=8°では羽根車出口で高い旋回速度成分を有したまま流体が流出していることが確認され、β_2を8°から16°にすることによって効率の増大が確認できた。 (2)ポンプ逆転水車運転時に働くラジアルスラストの見積もり 数値解析により、ポンプ逆転水車運転時に働くラジアルスラストを算出した。ポンプ運転時と同様に流量増加にともない、ラジアルスラストの増大を確認できた。またポンプ運転時と水車運転時のラジアルスラストの大きさを比較したところ、部分流量および設計流量において比較するとポンプ運転時の方が大きな値を取ることが分かった。一方、過大流量においては水車運転時の方が大きくなることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
汚水用一枚羽根ポンプをポンプ及び逆転水車として試験する試験装置を完成し、それを用いて両者の性能特性を実験的に調べ、ポンプ仕様点と水車仕様点の関係を明らかにして、汚水用一枚羽根ポンプは逆転水車として有効であることを示した。また、流れの数値解析によってもこれらの妥当性を確認し、さらに、実際の使用で問題となる水車運転時のラジアルスラストについて明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ポンプ逆転水車としての更なる高効率化とラジアルスラストの低減の観点から、汚水用二枚羽根ポンプを用い逆転水車として使用した場合についての性能特性やラジアルスラストについて明らかにしていく。
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