プラズマの磁気機能性流体としての特質に着目し、本研究の目的である不足膨張プラズマ噴流中の垂直衝撃波(以後マッハディスクと記す)や噴流の超音速域に挿入したタングステンプローブの円錐形の先端から発生する斜め衝撃波の磁場による変化について実験的に検討した。これまでの2年間の検討では、光強度が最も高い印加磁場を最大にした場合に噴流全体が露出オーバーとならないようにデジタルカメラの露出やシャッター速度を設定して噴流を撮影し、この撮影画像を用いて磁場の影響について比較検討を行ってきた。平成24年度はこれらのデータを参考にし、噴流の光強度が最大となるプラズマトーチ出口直後では露出オーバーとなるが、マッハディスク近傍でより高い分解能の光強度分布を得るために、カメラの露出を低く設定して撮影を行った。得られた従来よりも高い分解能の光強度データからマッハディスク近傍の等高線の分布を求めた。マッハディスク直後の後流の亜音速域における最大光強度により基準化したマッハディスク下流の等高線の分布には、比較的高い光強度比で磁場の影響による形状の変化が示された。すなわち、無磁場の場合には噴流中心が端部に比べてやや下流にある通常のマッハディスクと同様の典型的な凹型の形状を示すが、印加磁場を強くすると端部が下流に移動し、平坦な形状へと変化した。さらに磁場を強くすると端部が中心部よりも下流にある凸型の分布となり、磁場が強くなるとともにその傾向はより顕著になった。これらのマッハディスク直後の光強度の等高線の分布形状は、マッハディスクの変形、すなわちマッハディスク直前の速度分布の変化に対応していると考えられる。また、プラズマ噴流に先端が円錐形のタングステンプローブを挿入した斜め衝撃波の測定でも、同様に露出を低い値に設定し、プローブ先端の位置を変えてデータの補完を行い、より多くの基礎データを得た。
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