研究概要 |
本年度(3年計画のうちの2年目)として、(1)衝撃波管を利用した高速非定常温度場発生装置(以下、供試衝撃波管)の発生温度変化の基礎特性の把握、ならびに(2)熱音響波(UTA)計測用光学系の再設計を実施した。具体的内容について以下に示す。 [具体的内容・意義(1)]昨年度、設計・製作した供試衝撃波管(二重隔膜式、高圧室長500mm、低圧室長2000mm、中圧室長50mm、高・中・低圧室断面形状口50mm)の初期力比P4/P1(高圧室充てん圧P4、低圧室圧力P1)と発生衝撃波Mach数Msの校正曲線の取得および衝撃波背後に誘起される温度比T2/T1(低圧室温度T1、衝撃波背後温度T2)の推定を実施した。これらは、以後実施する高速非定常温度場計測において、計測範囲、精度限界を評価する上で必要不可欠な特性値である。一方、理想的な作動を前提とした衝撃波管単純理論からの差異が,装置個々の寸法,破膜方法に依存するため、実測による特性の把握が不可欠となる。測定の結果、P4/P1-T2/T1校正曲線が得られるとともに、次のことが判明した。発生可能最大衝撃波Mach数Ms_<Max>=1、42(低圧室圧力は大気圧に固定)、発生可能最大温度比(測定部)(T2/T1)_<Max>=1.27。これは、供試衝撃波管を用いて、最大約78K(常温での実験の場合)の温度差を有する非定常温度場が発生可能であると確認できた。 [具体的内容・意義(2)]予備実験の結果から供試衝撃波管内の測定部への計測光の導入および測定位置の調整方法に改善の余地があることが判明した。そこで、光学系の反射鏡の一部を波長選択反射鏡(ダイクロイック・ミラー)に変更し、励起光とプローブ光路の一部を共通化した。このことで光学系全体を小型化し、効率的な光学部品配置とした。また、光学系全体を可搬とするため、ブレッド・ボード上に光学系をまとめ、供試衝撃波管測定部への光路の自由度を改善した。
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