課題目的である衝撃波背後に生じる気体の急峻かつ非定常な温度場計測を行うため,1)衝撃波管による時間制御された平面衝撃波の発生,2)平面衝撃波背後温度場計測のためのレーザ誘起熱音響波(LITA)計測光学系による計測信号取得に向けた詳細調整を行い,温度場計測を実施した.その結果,計測気体を乾燥空気とし,衝撃波Mach数1.1,1.2,および1.3の平面衝撃波が誘起した温度場の計測結果を得た.得られた計測結果の精度は,単純理論による値と比して差違が10%以内となり,非定常高速応答型温度場計測手法として有効であることを示した. 上記1)項については,衝撃波管測定部への平面衝撃波到達と計測用レーザ照射の同期を図るため,平面衝撃波発生の時間制御を達成した.すなわち,昨年度製作した測定部断面50mmx50mmの小型衝撃波管の高圧室と低圧室の間に長さ20mmの中圧室を増設し,この中圧室と高・低圧室間にそれぞれ隔膜を設置することで二重隔膜構造とした.これにより,任意時間で平面衝撃波背後に生じる温度場発生とLITA計測用レーザ(励起および計測レーザ)の照射を同期させることを可能にした. 上記2)項については,LITA計測のための光学系を,計画の構成から小型化し,また,ブレット・ボード上に光学系を構成することでユニット化した.これは,本研究において,測定精度の根幹をなす励起光と測定光が測定部で満たすべき位置関係(Bragの回折条件)を確実に担保するとともに励起光による信号光への効果的なノイズ低減が不可欠であることが昨年度研究から判明したため,これを反映したものである.本項目は,衝撃波管計測部でのレーザ光照射位置の調整を容易にするばかりでなく,衝撃波管作動時に生じる機械的振動により生じる光学系のずれを防止でき,精度向上と効率的な測定をも達成した.
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