放射光研究施設への課題申請は12A(年度前半)と12B(年度後半)の2回採択され、4月と11月に実施できた。DLCの問題点は上流側でビームを一度全反射させることで解決できた。4月の実験では、a)撮影に使用するビデオカメラの問題とb)実験台上での機器配置の問題で十分に実験できなかった。 最新鋭高性能のビデオカメラをフォトロンから借用して持ち込んだが、実験に使えないことが判って、急きょ放射光施設のビデオカメラを借用して問題は回避できた。もう一件はマイクロバブル発生装置を実験台に乗せたために発生した。精密な防振装置である実験台にマイクロバブル発生装置を置いたために光学的調整がずれてしまって、ステレオ撮影不能になった。深夜に発生したこのトラブルで、やむなく実験を中止した。 12Bは優先課題(施設使用を払う)として採択され、11月上旬に3シフトの実験を実施した。マイクロバブル発生装置は防振台から切り離して丈夫な台を設けてその上に設置した。細管中への高濃度のマイクロバブルを導入できたが、気泡分布を均一にするのは困難であった。高濃度に導入したマイクロバブルの運動をステレオ撮影できたが、カメラの感度不足(または、ビーム強度の不足)のため低速流の場合しか撮影できなかった。気泡以外の固体分散相(たとえば、短い炭素繊維、中空ガラス球、球状シラス粉末)を混入した場合も撮影した。炭素繊維はX線がよく透過するため画像は不明瞭だった。シラス粉末は砕けて多数の破片が混入した、中空ガラス球は液との微妙な比重差で管内分布が偏ってしまった。 最終年度の11月に実験を実施できた。数パターンの流れを撮影できた。速度分布計測のためにはもっとデータがほしいところだが、本研究の方法で細管内を微粒子やマイクロバブルが分散して流れる混相流を計測できることは示せた。
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