研究概要 |
大気汚染の予測技術を確立することは,公害を引き起こす様々な化学物質の環境リスクを評価する上で必要である.本研究では,乱流渦により大きく蛇行しながら拡散するプルーム(汚染雲)の瞬間的な濃度特性を可視化画像計測から明らかにすることを目的としている.平成22年度に実施した研究内容は次の通りである. 1.速度成層形成装置の設計と製作:風洞内に様々なせん断流れを形成するための風洞付属設備の製作を行い設置した.その後,熱線風速計による流れ場の基本評価を行い,本研究で目的としている一様せん断流れ場における拡散実験に有効に利用できることを確認した.なお,この研究結果は日本機械学会北海道支部第49回講演会において学会発表を行った. 2.可視化計測における濃度計測の較正方法の検討:可視化計測には,一般撮影用のデジタルカメラとストロボを流用したスリット光照射ユニットを使用する.カメラに記録されるプルームの輝度値と実際に風洞内に放出される煙の濃度値は非直線的な関係にあるため,事前にこの関係を求め,演算により較正する必要がある.また可視化照明であるストロボ光についても,複数台のストロボ光を流れ方向に並べて実験を行う場合,可視化画像の位置によって可視化照明の強度が異なり,正確な濃度情報を得ることができない.これら濃度計測における較正方法について提案を行い,較正方法の確認実験を行った. いずれの場合も予備実験を行い,そこから得られるデータから演算により正確な濃度情報が抽出できると考えられ,次年度当初にこの方法の有効性を確認する予定である.また,この成果については日本機械学会などで学会発表を行っていく.
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