細長比2の円柱模型の阻塞効果評価試験を行うための、阻塞比0.66%模型の浮揚試験が制御不良で失敗した前年度の結果を受け、当該模型の磁力支持制御特性の向上について検討した結果、JAXA 60cm 磁力支持天秤装置では制御特性の改善は困難と言う結論に達した。この為、高速制御能力が極めて高い流体科学研究所に有る超音速磁力支持天秤装置を利用することを考え、改めて流体科学研究所の磁力支持天秤装置に適合する模型を設計製作し、模型位置姿勢センサーの改良を試みたが、浮揚させるには至らず、最終的に細長比2模型の試験は阻塞比が2%以上の試験結果までしか得ることができなかった。本試験結果より推定された阻塞効果が無い場合の推定値とMaskellの阻塞効果補正法を各抗力係数に適用して得られた阻塞効果補正値との比較ではまだ不十分と言う結果を得た。一方、他の場合にどの様に当てはまるか、地面板上の鈍頭物体の阻塞効果を評価してみた。この場合は流れ場に関しては近似的に地面板が鏡面として作用するので、空中に浮揚している円柱模型と同様に3次元鈍頭物体として取り扱える。この場合は約0.15という大きな阻塞比の模型であるが、Maskellの方法と類似の大規模剥離を伴う模型の阻塞効果を求める一般的な手法を用いた阻塞効果の補正量とはほぼ近い補正量を得ることができた。ただし、細長比は実効上0.5未満と考えられる上、地面板が後流を固定する作用として働くので適用できたのかもしれない。この様に、純粋な空中に浮揚した3次元鈍頭物体では実用上は有効と言われる補正式を適用しても阻塞効果補正は十分でないことが判ったが、何故支持干渉が無い場合には既存補正法を適用しても不十分になるのかは、試験ケースの不足により十分な検討ができなかった。
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