平成23年度は、管内径2mmで冷媒R-1234yfの沸騰熱伝達の質量流速、熱流速、潤滑油の影響を実験により調べた。実験条件は蒸発温度15℃、質量流速150、300kg/m^2s、熱流速12、24kW/m^2、潤滑油はPAG(VG46)でオイル濃度0~4.5%wtである。実験結果より以下のことが分かった。 1)純冷媒の熱伝達率に関して、低クオリティ域(x<0.5)において、150kg/m^2sの条件下で12kW/m^2から24kW/m^2の変化で熱伝達率は2.8から3.8kW/m^2Kに、300kg/m^2sの条件下、同様の熱流速の増加で熱伝達率は3.7から4.3kW/m^2Kになり熱流速の増加で熱伝達率の増加があった。また、高クオリティ域(x>0.3)において、12kW/m2sの条件下で150から300kg/m^2sの変化で熱伝達率は3.3から5.2kW/m^2Kに、24kW/m^2sの条件下、同様の質量流速の増加で3.8から5.4kW/m^2Kになり質量流速の増加で熱伝達率の増加があり、低クオリティ域では核沸騰伝熱、高クオリティ域では強制対流沸騰伝熱が支配的であった。 2)潤滑油混入による流動観察について、0.44wt%以上になると液スラグ中に小気泡(約0.2mm径)の増加が見られるようになり潤滑油濃度の増加と共に気泡量は増加する。液スラグ中の気泡分布は比較的均一で大きな偏りは見られなかった。 3)熱伝達率に対する潤滑油の影響について、低クオリティ域(x<0.4~0.55)では0.4wt%以下で熱伝達率は減少し、0.4wt%以上では潤滑油濃度と共に熱伝達率の増加が見られ、最大で純冷媒の約2倍の熱伝達率増加があった。高クオリティ域では濃度に対して単調減少である。 4)圧力損失に対する潤滑油の影響について、潤滑油濃度の増加に対して圧力損失は0wt%の場合の単調増加で1.7~4.8倍であった。
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