研究概要 |
冷凍空調システムにおける熱交換器の伝熱性能は,圧縮機や膨張機から冷媒とともに吐き出される冷凍機油の混入により大きく低下するため,熱交換器効率の向上のためには,高性能な油分離器が必要となっている.本研究では,冷凍空調サイクルの熱交換器効率向上を目的として,冷媒圧縮機からの吐油量の減少およびクーロンカを利用した高性能油分離器の開発をめざしている. 高性能油分離器の開発にあたり,圧縮機からどのような油ミストが発生しているかをまず明らかにする必要がある.そこで,平成22年度はまず,モデル圧縮機を用いて圧縮機シェル内における油ミストの発生メカニズムを可視化によって観察し,また,シェル内で発生する油滴径計測を行った.大気圧下のモデル実験では実機冷媒圧縮機と圧力および密度条件が異なるため,モデル圧縮機において流速を増加させ,実機とモデル試験でウェーバ数をあわせて試験を行った.その結果,油ミストは吐き出しポートや軸受け部から出た油がロータ部に衝突して微粒化することや,運転条件とミスト径との関係等が明らかとなった. 一方,クーロン力を利用した油分離器の開発に関しては,大気圧下において平行平板電極間に電場を与え,電極間を通る油滴の帯電と,帯電により作用するクーロン力により油滴挙動を制御可能であることを実験的に確認した.平成23年度は,静電界場における油滴挙動の解析と,油分離器の試作を行い,クーロン力を利用した油分離器の要素試験を行う.
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