研究概要 |
冷凍空調システムにおける熱交換器の伝熱性能は,圧縮機や膨張機から冷媒とともに吐き出される冷凍機油の混入により大きく低下するため,熱交換器効率の向上のためには,高性能な油分離器が必要となっている.本研究では,冷凍空調サイクルの熱交換器効率向上を目的として,冷媒圧縮機からの吐油量の減少およびクーロン力を利用した高性能油分離器の開発をめざしている. 平成23年度は主に 1.圧縮機シェル内への吐き出し油量の見積もりとミスト挙動の把握 2.配管内の液滴の帯電に適した帯電方法の検討とクーロン力の評価を行った. 圧縮機シェル内のミスト挙動に関しては,圧縮機シェル内に吐き出される油量解析モデルを開発し,設計および運転パラメータがシェル内に吐き出される油量に及ぼす影響を明らかにするとともに,大気圧下での試験においてミストの発生にはウェーバ数より気液の見かけ流速比の影響が大きいことや,シェル内で発生するミスト径が数ミクロン程度であることが分かった. 一方,クーロン力を利用した油分離器の開発に関しては,配管内の液滴の帯電方法として,正電極をブラシとし,コロナ放電により液滴を帯電させる方法が適していることが分かった.平成24年度は,コロナ放電が冷媒や冷凍機油の物性に与える影響を確認し,冷媒雰囲気におけるミストの帯電および分離について検討する.
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の変更はなく,今年度は冷媒雰囲気における油分離挙動の確認,冷媒および冷凍機油物性に対するコロナ放電の影響確認.粒径の小さなミストの帯電分離,実サイクルにおける試作油分離器の評価等を行う予定である.本研究では本装置の実現可能性を明らかにすることを目的としており,その最適設計は次のステップにて検討する予定である.
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