研究概要 |
燃焼技術に関連するエネルギー問題および環境問題が大きな社会問題となっている.化石燃料は将来必ず枯渇する.また地球温暖化を代表とする環境問題は人類の生存さえも脅かす大きな問題である.豊かで,持続可能な社会を構築するためには化石燃料に代わる新燃料の開発は緊急の課題である.新エネルギーの一つとして水素が考えられる.化石燃料を使用する炭素循環エネルギーシステムに比べ,水循環エネルギーシステムは量的にも,その速さにおいても格段に優れている. 水素利用技術の観点から,水素燃料から動力を得る場合には水素の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池が熱効率の点で優れている.しかしながら,水素を直接熱源として利用する水素燃焼の役割も大きい.ただし,水素は炭化水素燃料と比べ,爆発性の高い燃料であり,安全な燃焼法の確立が求められる.そこで,本研究の目的は(1)安全な小型水素炉内燃焼技術の確立と(2)その燃焼特性の解明である. 本年度は対象火炎の決定と燃焼炉の製作を行った.対象火炎の決定では,円筒炉内に形成される火炎を対象に,申請者が開発した確率密度関数(PDF)/モーメント組合せ法と多変数仮定PDF法による解析を行い,火炎長,火炎幅,各化学種濃度分布,温度分布の概算値を得た。これらのデータに基づき,燃焼炉の設計,製作を行った.中心に水素噴流火炎,その周囲に水素旋回パイロット火炎を配置する燃焼システムとした.この際,熱疲労によるバーナ壁の損傷を防ぐために,バーナ側壁表面に沿って,空気旋回流を流した.この燃焼器の燃焼特性について,予備的な測定を行った. 次年度は本燃焼器の特性を評価するために,温度,濃度,速度測定を行い,燃焼器の最適化を行う予定である.
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