研究課題
加熱面上の薄膜蒸発伝熱現象を解明し蒸発伝熱特性を増大することを目的とし,基礎研究として蒸発面構造の最適化を行ない,応用技術開発として2ケースの実用条件について検討した結果,高い蒸発熱伝達率を得られる条件を見出した.1.基礎研究:平成23年度までに検討したメッシュ付き面のデータを基にして,さらに高い蒸発伝熱特性を得るために新型交差溝付き構造を考案した.重要な点は蒸発伝熱特性を上げるために薄い膜を形成し,かつ蒸発した量の液を速やかに供給できる構造にすることであり,さらに実用を考えると製作が容易であることも必要である.それらの観点でミクロ構造や寸法を適正化した7種類の交差溝付き構造のサンプルを製作し,泡による液膜供給のモデル蒸発伝熱実験(作動流体は水,伝熱面はヒータによる加熱した銅面,周囲条件は飽和水蒸気)を行なった.その結果,交差溝深さを0.5mmと1.0mmにし,溝幅0.5mm,角部を鋭角にすることで最大の蒸発熱伝達率を示し,メッシュ付き面よりも約1.5倍大きく(平滑面の約8倍)できるという結果を得た.2.応用技術開発:(1)電子機器冷却への応用として,局所的に熱流束が大きい伝熱面モデル(高発熱部の寸法が100mm)について,表面を交差溝付き構造とし,伝熱面表面の濡れ性を良くし,さらに伝熱面の内部から液を染み出させて液供給する方法を検討した.伝熱実験(周囲条件は大気)を行なった結果,この実用条件でも基礎研究のモデル蒸発伝熱実験と同程度に高い蒸発熱伝達率を実用条件でも得られるという結果を得た.(2)太陽熱コレクターへの応用として,熱流束が小さく広い伝熱面積の伝熱面モデルについて,蒸発伝熱面近くの周囲空間の水蒸気濃度を高くすることで高い蒸発熱伝達率を得られるという結果を得た.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Physics, Conference Series
巻: 395 ページ: 1-8
10.1088/1742-6596/395/1/012143