研究概要 |
着霜により,例えば,空調機器においては,低外気時の暖房運転時に室外熱交換器の暖房能力が低下する.冷蔵ショーケースやユニットクーラ等においては,庫内の熱交換器への着霜により,機器の効率が低下し,その結果,冷凍能力が低下する.さらに,除霜運転では,余計な電カが必要となる.また,超音速機を開発する上で,空気予冷却器の冷却管群への着霜がエンジン性能の低下を引き起こすという報告も有る.この様に,着霜現象は多くの状況で見られ,それは機器の性能低下を引き起こし,場合によっては重大な事故の原因となることもある.よって,着霜現象の科学的・工学的解明は急務である.そのためには先ず,霜結晶の発生直後から成長の初期段階での霜結晶形状/構造/分布と霜結晶の冷却固体面からのかき取り力の相関を知ることが重要となる.そして,その場合の霜層寸法を考慮すると,微小(マイクロ)スケールでの測定は不可欠である. 本研究では,これまでそれらの値が微小すぎて計測することが困難であった霜結晶の形状/構造/分布や冷却固体面からの霜のかき取り力に対して,走査型プローブ顕微鏡(SPM)により,微小スケールの霜結晶の形状/構造/分布とSPMを用いた霜結晶の冷却固体面からのかき取り力の測定方法を開発した.さらに,測定される霜結晶高さ・根元径・霜結晶個数から霜結晶形状を円錐として近似し,着霜面積や着霜質量を算出する方法を提案した.そして,SPMにより測定した結果,以下の結論を得た. 1.上記確立した方法で,霜結晶形状/構造/霜結晶分布,霜結晶個数,着霜面積,着霜質量と霜結晶のかき取り力の相関の経時変化を求めることができた. 2.霜結晶形状/構造/分布,霜結晶個数,着霜面積,着霜質量と霜結晶のかき取り力の相関の経時変化を,湿度を広範囲に変えながら明らかにした.
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