研究課題
本研究は,高周波交流磁場中における磁性ナノ・マイクロ粒子の発熱現象を利用し,これと外部磁場による磁性粒子マニピュレーション法を組み合わせて新規ナノ・マイクロスケール局所加熱法を開発しようというものである.今年度(平成 24 年度)の研究成果概要を以下にまとめる.(1) 磁性粒子を用いたナノ・マイクロスケール局所加熱法の開発前年度までの研究により,磁性粒子表面に固定化されたアミラーゼが交流磁場中の粒子の発熱によって活性化することを明らかにした.今年度は固定化アミラーゼの活性測定を通して交流磁場中における磁性粒子の表面温度上昇を推定した.まず固定化アミラーゼの活性を無磁場下で測定し,その温度依存性を解析した.さらに交流磁場中の固定化アミラーゼの活性上昇を測定し,前述の固定化アミラーゼの活性の温度依存性と比較し,交流磁場中の磁性粒子の表面温度を推定した.平均粒径約 1 マイクロメートルの鉄粒子に周波数 389 kHz,強度が 12, 24 kA/m の交流磁場を印加した場合の温度上昇はそれぞれ,約 4, 8 K であった.(2) バイオ・医療への応用化検討酵素の磁性粒子への固定化および交流磁場中の粒子表面の酵素反応を解析した.今年度は DNA ポリメラーゼを磁性粒子表面に固定化し,そのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)への応用化検討を行った.PCR を実行するにはサンプル温度の上下変動を繰り返し行う必要があるが,本研究は交流磁場中の磁性粒子の発熱を利用して粒子表面の温度の上下変動を行い,PCR を実行しようというものである.今年度はサーマルサイクラーを用いて固定化ポリメラーゼによる PCR を実行し,DNA 断片の増幅に成功した.しかしながら一部のポリメラーゼは熱によって粒子表面から脱離しており,今後はより熱に対して強固な固定化法について検討を行う必要がある.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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BioNanoScience
巻: 2 ページ: 83-93
10.1007/s12668-012-0040-y