研究課題/領域番号 |
22560212
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研究機関 | 岐阜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
石丸 和博 岐阜工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (60232344)
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キーワード | プラズマ / ナノ材料 / 燃料電池 / 酸素還元活性 / 触媒 |
研究概要 |
固体高分子形燃料電池の本格普及のためのカソード側非白金触媒の候補となっているのが、カーボンアロイ触媒であり、ナノシェルと呼ばれる特殊炭素構造とドープされた窒素の効果によって酸素還元活性の触媒作用が示される。この合成方法として、窒素雰囲気における炭化水素系ガス原料による高周波放電非平衡プラズマを用いた化学的気相合成法に注目した。 適用するプラズマの種類として容量結合型のみを考慮していたが、このプラズマでは材料の大量合成には適しているが電子密度が低いため、十分な反応性が得られない可能性があった。そこで、より合成の可能性を高めるため、容量結合型より高い電子密度を実現できる誘導結合型も形成可能な実験装置に改良を施した。具体的には、電源系・ガス供給系・排気系・計測系はそのままで、誘導結合型プラズマ生成用の反応容器を新たに製作して2つの反応容器を切り替えることで、2つのプラズマ状態に対応できるようにした。 主に、誘導結合型プラズマを適用し、炭化水素系ガスであるメタンおよび窒素によるプラズマにヘリウムを混合したできるだけ高い圧力下でも、プラズマを維持できる雰囲気を形成した。そして、プラズマの電気特性および発光特性を調査し、カーボンアロイ触媒を低コストで多量に合成できる可能性の高いプラズマ状態について検討した。この結果、ヘリウム混合によってメタン・窒素ともに、ほぼ原料ガス分圧を下げることを変化させることなく放電開始電力を下げることができ、その後のプラズマ特性に与える影響は小さいことが明らかになった。さらに、電力の増加によって、プラズマ内へ効率良く電力投入される傾向があることも示唆した。 また、本研究におけるプラズマ発生技術に関し、光触媒粒子による充填層を用いた誘電体バリア放電にも用い、この時発生するプラズマを用いて、高ガス圧力でも高効率・高濃度のオゾン生成を可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高酸素還元活性を示すカーボンアロイを非平衡プラズマによって合成するための十分な環境を整え、低コストで多量に合成することに向けた基礎特性について把握した。また、合成されたものを評価する環境についても十分に整った。
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今後の研究の推進方策 |
カーボンアロイの合成実験を進めていくとともに、プラズマの生成過程について計算機によるシミュレーション解析を行い、プラズマ中で生成される励起活性種の種類と量を予測する。また、これらが基板に到達しカーボンアロイを合成するという、この反応場で最も基礎的かつ重要な過程についてもシミュレーション解析を行い、その合成のし易さを予測する。そして、これらの結果から反応に関与する活性種および電子の総合的な挙動を熱分子論的に解析し、解析結果と実験結果との対応より、カーボンアロイ合成に適したプラズマ構造および性質を考察する。
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