研究概要 |
一般に、乱流熱伝達現象は時間的空間的に複雑に変動するが、この現象を高速赤外線カメラで測定する新手法を確立するための研究を行った。当該年度は以下の研究を実施した。 1. 被測定面の分光放射率評価:赤外線カメラで正確な温度を測定するためには,被測定面の分光放射率を正確に評価することが不可欠となる。そのため、分光放射率評価用の模型(等温加熱板の半分に被測定面を接着し、半分を黒体塗料で塗布したもの)を製作し、分光放射率を評価した。また、数種類の黒体塗料や黒体テープの放射率も評価した。 2. 熱伝達変動測定:従来の研究において作成した平板模型(伝熱面に厚さ2μmのチタン箔を使用したもの)を用い、乱流熱伝達の時空間分布を測定した。また、高速な変動が正しく測定できているか検証するため、同一の流れ場において高速熱流束センサを用いた熱伝達変動測定を行った。その結果、本手法で250Hzまでの熱伝達変動が測定可能であることを確認した。 3. 新平板模型の設計:乱流に伴う複雑な熱伝達変動を十分な時間・空間分解で測定するため、新たな平板模型を設計した。これは、従来の平板模型(厚さ6mm)よりも厚く(厚さ18mm)、さらに、伝熱面として熱容量の非常に小さな金属箔(厚さ1.5mmのチタン箔)を用いたものである。H23年度にはこの模型を用いた熱伝達測定を行い、時空間分解能の向上を検証する予定である。 4. 当該研究課題の前提となる昨年度までの研究成果を国際会議(International Heat Transfer Conference, Washington D.C., Aug.8-13,2010)で発表し、関連した研究者と討論および情報交換を行った。
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