研究概要 |
一般に、乱流熱伝達現象は時間的空間的に複雑に変動するが、この現象を高速赤外線カメラで測定する新手法を確立するための研究を行った。当該年度は以下の研究を実施した。 (1)熱伝達測定模型の製作:H22年度に、基本的な流れ場(乱流境界層,後向きステップ,前向きステップなど)測定用の実験模型を設計したが、この模型を実際に製作した。その際、できるだけ測定の時空間分解能を向上できるように、熱容量の非常に小さな金属箔(厚さ1.5μmのチタン箔)を伝熱面に用いた。また、従来より高レイノルズ数範囲の測定が可能なように、模型の寸法を厚さ、幅、長さ共に従来の模型の2~3倍に大きくした。 (2)熱伝達測定実験:(1)で製作した模型を用いて、高速赤外線カメラにより、各流れ場における熱伝達の時間・空間変動を測定した。その際、流れの全体像を得るための全域測定と、高い時空間全解能を得るための拡大測定の双方を行った。また、各流れ場において、熱伝達現象の有する特徴的な空間波長および変動周波数を評価した。同時に、高速熱流束センサを用いた熱伝達変動測定を行い、赤外線カメラで得られた変動波形及びそめ統計量を検証した。 (3)PIVによる流れ場の測定:乱流境界層及び後向きステップ再付着域において、PIVにより壁面近傍の瞬時速度分布を測定した。また、赤外線カメラで得られた瞬時熱伝達率分布と比較し、壁面近傍の流れ場と瞬時熱伝達との関係を調査した。 (4)H23年度前半までの研究成果を日米韓流体工学合同会議(ASME-JSME-KSME Joint Fluids Engineering Conference,July 24-29,2011)で発表し、関連した研究者と討論および情報交換を行った。
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