研究概要 |
一般に、乱流熱伝達現象は時空間的に複雑に変動するが、この現象を高速赤外線カメラで測定する新手法を確立するための研究を行っている。当該年度は以下の研究を実施した。 (1) 熱伝達測定結果の解析: H23年度に取得した乱流境界層およびはく離・再付着流れの瞬時熱伝達率分布の時系列データを基に、熱伝達の時間・空間変動特性の統計解析を行った。その結果、乱流境界層の場合、壁面近傍に形成されるストリーク構造に対応したスパン方向の周期性が存在することや、バースト周期に対応した変動周波数が支配的になることを明らかにした。同時に、乱流渦構造に対応した高速でかつ複雑な熱伝達変動が本測定手法により正しく測定できることが確認できた。 (2) 国際会議での発表: 乱流境界層熱伝達の解析結果を、流れの可視化国際シンポジウム(15th Int. Symp. on Flow Visualization, Jun 25-28, 2012)で発表した。また、はく離・再付着流れの解析結果の一部を、乱流熱物質国際シンポジウム(7th Int. Symp. on Turbulence, Heat and Mass Transfer, Sep. 24-27, 2012)で発表した。 (3) 水流への熱伝達測定(予備実験): 本研究課題の延長上のテーマとして、乱流に伴う流体-構造の熱連成現象の測定が挙げられる。この測定の実現可能性を調査するため、円管内水流の簡易な実験装置を作成し、赤外線カメラを用いた測定を試みた。 (4) Webでの研究成果公表: 防衛大学校機械工学科熱工学講座のホームページ(http://www.nda.ac.jp/~nhajime/research.html)において、H24年度までに得られた成果を公表した。
|