一般に、乱流が発生すると、対流による熱移動(熱伝達)は時空間的に複雑に変動する。この現象を高速赤外線カメラで測定する新手法を開発した。当該年度は以下の研究を実施した。 (1) 学会発表および論文投稿: 昨年度までに、乱流熱伝達に伴う温度の時系列データを取得する方法、および得られた温度データから対流熱伝達の時空間分布を解析する手法について検討した。また、乱流境界層やはく離・再付着流れに伴う熱伝達の時間・空間変動特性(特徴的な空間波長や変動周波数)の解析を行った。H25年度は、これまで得られた研究成果を整理し、学術論文投稿を行った。 (2) 円管内水流測定の試み: 次なる課題として、乱流による熱連成問題(流体温度変動が壁温変動を引き起こすことにより発生する高サイクル熱疲労や伝熱の非線形問題など)に関する基礎データの取得を検討している。その第一段階として、管内水流の実験装置を試作し、流体が水(液体)の場合であっても、高速度赤外線カメラを用いた手法によって乱流熱伝達の瞬時分布およびその変動が定量的に測定可能であることを確認した。開発した測定手法及び測定により得られた結果は、国内講演会や国際会議において発表した。 (3) Webでの研究成果公表: 防衛大学校機械工学科熱工学講座のホームページ(http://www.nda.ac.jp/~nhajime/research.html)において、H25年度までに得られた成果を公表した。
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